
こんにちは。ひと月早いですね。
先週もクリニックにお邪魔して、
月に一度お話伺う機会いただいてきました。
第三水曜日が近づくと、
今月はどんな方のお話うかがえるかと
楽しみにしながら、藤谷先生とお電話で打ち合わせています。
お話を伺うのはアレルギーに対応したお子さんの食、
または成人の方の栄養調整食が多いのですが
母乳を飲ませておられるお母さんたちの食も
最近特に気になるところです。
鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン。
栄養素の中でも微量元素、と呼ばれる
わずかずつだけど必ず体の機構に必要なミネラルたちです。
私たち人間も骨や筋肉、内臓様々な場所に分布するのと同じく
食品は肉類や魚の身の部分に含まれるものや
緑黄色野菜、海藻類、キノコ、果物類の皮の部分にあるなど
いろんな食品に含まれます。

また、消化過程で他の食品や消化液の影響を受け
吸収されやすい状態に変化します。
いろいろな食品を取り合わせて摂ることが大事なのは
このあたりに所以があるわけです。
離乳食の開始は5か月~6か月とされていますが
これらのミネラル類の中でも特に多く必要な鉄を
赤ちゃんがお母さんの体からお弁当のようにもらって出て来た後
少しずつ小出しに使い、そろそろ備蓄が底をつく頃と一致します。
生まれ落ちたときは、未熟な胃腸しかなく、
歯も噛む力も成長過程にあるため
ほとんど鉄を含まない母乳やミルクで
体を大きく成長させるうち
腸も発育し、他のミネラル類を吸収する力を持てるまでになるのが
ちょうど離乳食開始の頃なのです。

ミネラル不足、待ったなし。
なので、
主食であるおかゆで固形物を「食べる」ことに出逢ってから
そう間をあけずに、人参、かぼちゃ、ほうれん草、といった
色の濃い野菜のわずかな鉄分もさることながら、
白身の魚から、しらすにサワラや鮭などの魚、
卵の黄身や、大豆、脂身の少ない肉、といった
たんぱく質を順に試していき、
少しでも鉄分をはじめとするミネラルを摂れるよう
赤ちゃんの腸と食の世界を広げていく作業。
それが離乳食というわけです。

少し前までは、卵は後回しとされていたのが
アレルギーの有無を確認しながら
食べられるのであれば早めに取り入れていくほうが
ミネラル不足、あるいは腸の発達不足による
アレルギー反応を減らすのに有効であることがわかったため
離乳食食べさせ始めの固ゆで卵の黄身の優先順位が早くなっています。

食品の中にわずかずつ含まれるミネラルを
砂鉄を集める磁石のように、丹念に見つけて取り込んでいく力は
腸の壁に仕込まれていますので、
この「磁石」の精度を上げていくためにも
体の発育はとても重要なわけです。
消化し、吸収する力はセットなので、
例えばサプリメント類など精製され凝縮されたものを
体に無造作に投げ入れても、吸収力は成長しません。
大人でも、長年高濃度のサプリメントを摂ることにより
食品中の栄養素吸収力が低下してしまうことはままありますので
「飲むだけ」「とるだけ」「これだけで」
とうたうものにはご注意を。
なお、鋼の包丁、鉄鍋といった調理器具から
ミネラルを少しずつ摂っていたといいます。
風呂桶など生活用具から皮膚を通じて浸透したものも
少なからずあるようです。

春先にまだ冷たい海に入って摘んだ芽ひじきを
浜辺で大釜炊いて天日干しして仕上げていたものに比べ
現代のヒジキの鉄含有量が大幅に落ちてしまっていることからも
生活の変化が現代人のミネラル不足や
それに伴い起こり得る皮膚症状・ひいては成長不良に
影響していることも考えられます。
母乳に微量ながら含まれるべき亜鉛などのミネラルの不足は
赤ちゃんの発育にも影響することが考えられます。
特に授乳期間は必要量が増すため
肉、魚、大豆製品、乳製品、卵、と言ったたんぱく質を多くとり
野菜やきのこ、イモ類、海藻類、果物も多種多様に摂るといった
食事への心がけも量も必要度が高まっています。
赤ちゃんの肌あれがひどい、泣き止まない、
発育に不安、といった場合はぜひ
お母さんの食事も含め
先生や、栄養士にご相談になってください。

*扉の写真:夏の始まり皿うどん、トマトと鯖缶でたれを作り、かつお節もたっぷり。